医療法人における事業継承についてまとめていきたいと思います。
今回は医療法人について
①医療法人とは
2021年3月現在医療法人は全国で56,303法人あります。
医療法人の定義は、医療法において
「病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所又は介護老人保健施設を開設しようとする社団又は財団をいい、都道府県知事の認可により医療法に基づいて設立される特別法上の法人のこと」(医療法第39条1項)
社団・財団は法人の区分の一つで、社団は人の集まりを基盤としたもの、財団とは提供された財産(無償寄附)が基盤の法人で、医療分野の場合、条件は異なりますがどちらの種類でも設立が可能。
さらに、医療法人の種類は、社団医療法人、財団医療法人、特定医療法人の3種類にわけられます。社団医療法人が全体の99%以上を占めています。
②医療法人のメリットデメリット
医療法人設立によるメリット
- 報酬に対して給与所得控除を受けられる
- 親族を役員にして役員報酬を得られる
- 個人事業と違い退職金を得られる
- 生命保険料が経費として認められる(契約者および保険金受取人が医療法人の場合)
- 法人税になるため最高税率が下がる
- 出資持分がないため事業承継が容易
- 分院及び広域医療法人展開が可能になり事業拡大が容易になる
- 新医療法人を相続する際には、親族が継いでも親族間で相続税がかからない
医療法人設立によるデメリット
- 社会保険料の負担が増大する(職員および報酬額の多い理事長の社会保険料負担も生じることになる)
- 医療法人が解散する場合の残余財産は、国や地方公共団体へ帰属する
- 利益の配当や分配(賞与)が禁止されている
- 投資を目的とした株式や不動産などの売買ができない
- 医療法人の役員として、原則理事3名以上、監事1名以上を必要とする。都道府県への毎年の決算届が必要
- 設立手続きから毎年の社員総会議事録等、書類作成および保管等の事務手続きが必要
今回はここ迄